東武・京成・新京成線を撮りに行く
最近「鐵分」が不足している。高校時代までは思い立てばふらっと東京の方に出て鉄道の写真を撮りに行ったものだが、筑波に移ってからは全然鉄道に乗らなくなった…という訳ではないが、全然鉄道を楽しめなくなった。筑波には「秋葉エクスプレス」のことTX線[1]が通っている訳だが、このTX線、意外とつまらないのである。確かに特急電車でもないのに長距離を時速125kmで運行するという他の鉄道ではあまり見られない特徴を持っているのだが、逆に言うとそれだけで、車両は2000年代以降の新型車両だけで(2008年開業なので当たり前だが)、高規格路線であるが故に路線の途中に速度制限がある区間が少なく、ただ単調に加速し、最高速度近くで惰行し、ただ単調に減速する。各駅でわずか3種類しかない発車メロディーが淡々と流れ、都心以外は関東平野の景色が永遠と続く。最初は乗ると楽しい[2]、少なくとも安定して高速運転をするこの鉄道に一種の魅力を感じるのだが、暫く乗っているとTX線が唯の「輸送機械」に思えるようになってくる。これが、鉄道に乗っても鉄道を楽しめなくなる、「鐵分」が摂取できなくなる要因である。
自分のいる学生宿舎の休日前は、おおよそ夜2時ごろ迄は学生等が騒ぎ、昼の12時頃までは皆さん眠っているようで宿舎が静寂に包まれる。生活リズムが完全に乱れた暮らしをしている人が多い様である。加えて今は夏。エアコンのない自分の部屋では朝起きても既に摂氏30度を超えていることが多く、朝から懈い。ところがある日、10時に目覚めた自分は気付いて考える。「天候は晴れ。なのに気温は26℃。こんなに良い日は滅多にないのでどこかに旅行しに行くしかない、」と。
10時半頃には朝食を食べて簡易的に支度して筑波駅に向かう。乗るのはTX線。というか、大学の周辺では10km以上移動しない限り鉄道はTX線に限られてしまうのである。あまり進まないがとにかくTXに乗り込み、都心に向かう。然しTXアンチなのですぐに他の鉄道に移ることを考え出す。「守谷から関鉄[3]で取手に出るか。然し運賃が高いのであまりこの手を使いたくない。そうだ、流山大鷹の森から東武線で船橋のほうに出て、京成線の写真を撮りに行こう、」と。
←流山大鷹の森にて。新型の電車しかない中でその最新型である3500系同士の並びが見れた。だがあまり嬉しくない。
←やっとTXを抜け出し東武線へと入る。
←東武線流山大鷹の森駅。
←東武線の路線図。(一部)
東武線の駅に来て掲示板の時刻表等を確認すると思わず目に入ってしまうのは路線図だろうか。浅草・北千住・大宮といった主要な駅を押さえ、さらに船橋・久喜・宇都宮・栃木・日光といった首都圏から離れた多くの地域に向かって線路を延ばしている。それもそのはず、東武線は関東で最も距離の長い私鉄であるからのだが。
←乗車した東武8000系。(但し、到着後の柏駅にて。)
←8000系の車内。
で、やってきたのは東武8000系。この古い車内にふかふかの座席。そして心地よい界磁チョッパの走行音。鉄道好きには堪らない。ただ、この電車は普通電車で、二個先の柏駅で終点となってしまい、その先へは急行電車に乗り換えないといけない。「普通電車は古い8000系だったが、急行電車はさすがに新型車両になってしまうか…」と思ったのだが、
←乗り換えた急行電車。(正面写真は撮り忘れ)
乗り換えた急行電車も8000系だった。素晴らしい。この電車で船橋まで向かった。
(走行音)
←東武線船橋駅
そして、船橋駅に到着。向かい側には10030系が停車しており、その奥には総武線(中央総武緩行線)が走る様子が見えた。にしても総武線、10年前と変わった点はE231-0番台と209系500番台が殆どE231-500番台に統一されただけで、横から見ると以前と全く同じ車両に見えてしまう。それでも6ドア車[4]がないのをみると、何か物足りなさを感じてしまう。
さて、東武線を出て、京成船橋駅へと向かう。
←JR船橋駅を正面から。
←明らかに鉄道を見るための展望台なのだが…誰も使っていない。
←京成船橋駅。
←京成船橋駅時刻表。(下り)
京成船橋駅に着き、時刻表をみる。以前、日中の優等列車は特急と快速が交互に走り、その後は特急の一部が快速特急に変更されたことは覚えていたが、確認してみると日中の特急列車が消えていた。「特急が全て快速特急に統一されたのか。」と、誤認したのだが、実際は日中の特急が快速に統一されたのであって、この後写真を撮りながら快速が立て続けに来るのを見て時刻表に疑問を抱いたのは別の話。
(3700形更新車)←3700形6両編成
←3500形
(3700未更新到着・発車、3700更新到着発車+(おまけ)3500発車の動画)
やってくるのは大体3000形だが、3700形・3500形なども来る。3700形はGTO-VVVFが聞け、6両編成の3700形普通電車が入線したときも「GTOかな。」とかと思ったのだが、聞いてみるとIGBT-VVVFに更新されている。この車両は脱線事故を起こしたため8両だったのを6両に短縮され、ついでに走行機器の更新等も行った様である[5]。
さて、運用調査で調べてみると次の上りの快速特急は3400形で運行されているらしい。3400形は走行機器が初代スカイライナーのものである車両で、殆どが既に引退しているのだが、1編成だけ未だに運用に就いている。今後の新型3200形による置き換え等も考えられるので、出来れば写真に収めたいものだが、同時刻に下りに普通電車が入線するため、下りホームからでは撮影できない可能性が出てきた。向かいのホームからの撮影でないとうまい写真が取れないので、このまま京成津田沼に移動して下り電車が被ることを防ごうかと思ったが、気付いたときには既に3400形が京成津田沼を発車していたため、それは出来なくなってしまった。少し考える。「下り普通電車は6両編成なので、普通電車が先に到着すれば被られずに撮れるのではないのか。」と考え、そのまま下りホームで待機することにした。そして到着のとき、思う。「しまった。上りの3400形のほうが先に到着する。」ところが…
(3400形動画)
←到着した3400形
そう、上り3400形到着→下り普通電車到着→暫くして3400形発車という順になったため、殆ど被られず、心配は杞憂となった。
←京成線路線図
列車が来るのを待っている間、少し京成線の路線図を観察してみることにした。注目したのは直通席の京急線の部分で、以前は停車駅の下にある丸の中に記号をつけて列車種別による停車駅を区別していたのだが、これが種別別に線を引いて停車駅を区別するタイプに変更されたのでかなり見やすくなった[6]。むしろ少し前から停車駅を斜めに書くようになった当の京急線の路線図よりも見やすいのでは…
←京成線路線図(拡大)
因みに、「急行」のシールの下をよくよく見ると廃止された「エアポート急行」の表示が。とりあえずこの後は京成津田沼駅に移動した。
(芝山鉄道線動画)
←京成線・芝山鉄道線・新京成線の並び
運用調査で調べた芝山鉄道線3500形を撮っていたらなんと京成線・芝山鉄道線・新京成線の車両が一列に並んだ。新京成線に関しては京成線に合併されると聞いているが、この後新京成線の車両の塗装はどうなるのだろうか。
←新京成線8800系
ここから新京成線で新鎌ヶ谷に行くことにした。乗ったのは8800形で、多くはIGBT-VVVFに更新されているが、乗った車両はGTO-VVVFのままで、音からして初期のものだと思われる。
(新京成走行音)
↑走行音。こうして音声を公開しているが、やはり音声だけでは手すりや足から伝わるモーターの振動音は伝わらない。
←新京成線路線図
↑車内の沿線案内。観光地の紹介でもしてくれるのかと思いきや、沿線の広告が掲示されているだけだった。
↑電車型の自販機。何故か新京成線の車両が旧塗装。
新鎌ヶ谷到着後は暫く新京成線と向かいに見える北総線の電車を撮影。
↑新京成80000形。新京成線に乗ったときはこんな車両が無かったのだが。
←N800形
←8900形
↑京成スカイライナーと新京成8000形の並び。天候が曇りになり、シャッタースピードが下がることで、時速130kmで走るスカイライナーがぶれないかが心配だった。
↑千葉NT鉄道9200形。1編成しかないレア。
←新鎌ヶ谷駅の表示
その後、新鎌ヶ谷駅を出て少し散策。東武アーバンパークラインを「東武野田線」と書く案内が何故か斬新に感じられた。
↑東武の元定期券売り場
←駅前の商店
←ショッピングモール
←東経140度線
駅から少し離れると、東経140度を示す線が路上に書かれていた。よくよく考えたら、あえて東京付近を標準時にするならば明石を通る東経135度ではなく東経140度を標準時子午線にすれば良いのだが、これでは沖縄などで正午などの時間がおかしくなるため、明石の135度にしたのだろう。
←乗車したのは右の100030系
この後は東武線で柏方面へ出て、柏からはJRで土浦方面まで行き、バスで筑波に戻る、前に…
←鴨そば
鉄道で「鐵分」を取るのもいいが、「鉄分」も取らないといけないので、柏駅で鴨そばを頂いた。因みに、この後、「我孫子で唐揚げそばを食べたほうが良かったのでは…」とか考えたりしたのは別の話。